連立の綻び浮き彫り ドイツ首相選出に暗雲

笠原 美琴
经过

328議席を持ちながら過半数割れの異常

6日に行われたドイツ連邦議会での首相選出初回投票で、与党連合のメルツ氏が当選に必要な票数を確保できなかった。与党勢力で328議席を有していたにもかかわらず、わずか6票不足という結果は、連立内部の結束の脆さを浮き彫りにした。

連立内の対立が票の離反を誘発

CDU・CSUとSPDは連立政権の枠組みで合意していたが、年金制度や移民政策といった中核的な政策課題での隔たりは埋まっていない。このため、政策方針に不満を持つ議員が反対に回ったと見られている。

メルツ氏の指導力に疑問符

CDU党首として政権を担う準備を進めてきたメルツ氏にとって、今回の結果は大きな打撃となった。求心力の低下は明白であり、次回以降の投票ではさらなる綱引きが予想される。

新政権発足前に足踏み状態へ

メルツ氏は「即応性のある内閣」を掲げ、外交・経済分野での迅速な対応を訴えていたが、政権発足前に足を取られる形となった。信任を得られないまま再投票へ進む状況は、政権の正当性にも影響を与える。

外交課題が進展しないリスクも

米トランプ政権の保護主義政策への対応やEU内での主導権争いなど、ドイツが担うべき国際的な責務は重い。こうした中、政権の立ち上げが停滞すれば、他国に対する信頼性も揺らぎかねない。

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