ハローワークのAI導入で利便性向上を検証へ

早瀬 涼真
经过

月間7,000万件超のアクセスに対応する現状

ハローワークのインターネットサービスは、求職者が求人を検索し、企業が募集情報を登録する仕組みを提供している。厚生労働省の統計によると、サービスには月あたり約7,000万件を超えるアクセスがあり、登録される求人情報の約80%がこのネット経由で取り扱われている。利用率の高さがシステムの重要性を示している。

問い合わせ対応にAIを活用する方針を表明

多くの利用者が求人検索や情報入力の過程で疑問を抱き、問い合わせ件数が増加している。これを受け、厚生労働省はAI技術を活用して、利用者からの問い合わせに自動応答するシステムを検証する実証実験を2026年度に開始する計画だ。実験期間は1年間で、応答精度やユーザーの満足度を重点的に分析する方針が示されている。

実証実験の目的は実用化の是非の判断

厚労省は、この取り組みを通じてAI導入の有効性や課題を明らかにし、必要に応じてシステムの見直しを行う考えだ。実証を通じて得られたフィードバックをもとに、問い合わせ対応の効率化とユーザー体験の向上を目指すとされる。現場の声を収集し、サービス設計に反映させる構えだ。

窓口業務の負担軽減に向けた別実験も開始

あわせて、窓口職員の負担軽減を目的に、AIを活用した求職者と企業のマッチング支援にも取り組む。対象となるのは、求職希望者の経歴や希望条件に応じた求人の推薦や、企業側への適切な人材提案などで、これも実証段階にある。省内では、人手に依存しすぎない新たな支援モデルの構築が模索されている。

今後の課題は精度とリスク対応の両立

厚労省は、AI導入の拡大に向けて、利便性だけでなく情報の正確性やセキュリティ面の課題も慎重に検証する方針を明らかにしている。利用者の満足度向上と同時に、誤情報の排除や悪用防止にも注力する必要がある。AI活用の範囲と限界を見極める1年となりそうだ。

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