米消費者物価、原油と中古車価格が抑制要因に

宇津木 柊
经过

3月CPIは5年ぶりの前月比マイナスを記録

2025年3月の米国の消費者物価は、前月比で0.1%下落し、2020年5月以来のマイナスに転じた。前年比でも2.4%の上昇にとどまり、前月の2.8%を下回った。予想を下回る結果により、市場では物価上昇圧力の鈍化が示されたとの見方が広がっている。

エネルギーと輸送関連費用が物価を押し下げ

特に目立ったのはエネルギー関連の価格動向だ。原油価格の下落を背景に、ガソリン価格は前月比で6.3%下落した。航空運賃(5.3%減)やホテル料金(3.5%減)など、輸送や宿泊に関わる項目でも広範な下落がみられた。

食品価格は堅調、生活コストに一部影響

食品価格は全体で0.4%の上昇となり、家庭の生活コストには一定の影響を与えている。特に卵の価格は5.9%と急上昇し、肉や魚、乳製品なども上昇傾向を示した。果物やパン類などの価格は一部で下落しており、全体としては混在した結果となった。

コアインフレ率も鈍化傾向に

変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアCPIも、前年比2.8%、前月比0.1%の上昇にとどまった。特に中古車価格が0.7%下落したことが、コア指標の抑制に寄与したとされている。その他、教育・医療費は上昇する一方、処方薬は2.0%の下落となった。

景気と政策判断に与える影響

インフレ指標の鈍化を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に段階的な利下げを進めるとの予測が強まっている。ただし、米中の通商摩擦や関税措置の影響が長期的な景気動向に与えるリスクは引き続き存在する。今後の政策判断は、物価動向と国際情勢の両面から慎重に行われる必要がある。

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