過去最高決算が示すAI投資の拡大
米半導体大手エヌビディアは2026年2~4月期決算で、売上高と純利益が四半期ベースで過去最高となった。売上高は816億1500万ドル、純利益は583億2100万ドルに達し、AI向け半導体需要の拡大が業績を押し上げた。生成AIの開発競争が続く中、同社の製品はデータセンター投資の中核を担っている。
特にデータセンター部門の伸びが際立った。同部門の売上高は752億4600万ドルとなり、前年同期から大きく増加した。AIモデルの学習や推論に使うインフラ整備が進み、クラウド事業者やAI関連企業による導入が拡大した。
5~7月期売上高見通しが予想超え
エヌビディアは2026年5~7月期の売上高見通しを910億ドル前後とした。市場予想の868億4000万ドルを上回る内容であり、AIインフラ関連の需要が引き続き強いことを示した。調整後1株当たり利益も1.87ドルとなり、市場予想を上回った。
ただ、決算内容が良好だったにもかかわらず、発表後の時間外取引で株価は1.6%下落した。市場では、成長期待がすでに株価に織り込まれているとの見方がある。さらに、競合製品や独自半導体の台頭により、将来の成長率に対する見方が慎重になっている。
株主還元強化で財務余力を示す
同社は今回、800億ドル規模の自社株買いを発表した。あわせて、四半期配当を1株当たり0.01ドルから0.25ドルへ引き上げた。急拡大する収益力を背景に、株主還元を強化する姿勢を明確にした。
一方で、AI半導体の供給体制を維持するための投資も増えている。世界的なメモリー半導体不足が続く中、同社は供給網の安定に向けて資金を投じている。顧客の注文や将来需要を踏まえ、生産委託先に確約した生産規模は1190億ドルとなり、前四半期の952億ドルから増加した。
CPU市場への展開で新たな収益源を狙う
コレット・クレス最高財務責任者は、CPU市場の規模を約2000億ドルと説明した。同社は新型CPU「ベラ」によって、この市場への展開を進める方針である。今年度の総CPU売上高については、200億ドル近くになるとの見通しを示した。
ジェンスン・フアン最高経営責任者も、新型CPUが新たな市場へのアクセスを可能にすると述べた。さらに、主力AI半導体「ブラックウェル」と「ルービン」による2025~2027年の売上高見通し1兆ドルには、このCPU売上高が含まれていないと説明した。AI半導体に加え、CPU分野でも収益機会を広げる戦略が示された。
独自半導体との競争が今後の焦点
エヌビディアの課題は、AI需要の拡大をどこまで持続的な成長につなげられるかにある。グーグル、アマゾン、マイクロソフトなどの大手テック企業は、AI関連投資を拡大する一方で、自社モデルに対応する独自半導体の開発も進めている。高価なプロセッサーへの依存を減らす動きは、同社の競争環境に影響を与える。
インテルやAMDも、推論処理向け市場で収益機会を見込んでいる。エヌビディアは3月に新たなプロセッサーとAIシステムを発表し、競争への対応を進めている。次世代AIプラットフォーム「ベラ・ルービン」については、製品寿命を通じて供給制約に直面するとの見方も示されており、需要対応と競争力維持が今後の焦点となる。
