食料品税率2年ゼロ案、年5兆円減収が焦点 国民会議で参加差、赤字国債回避を主張

長峰 詩花
经过

同時検討の枠組みと政府の狙い

政府・与党は2026年2月26日、首相官邸で「国民会議」の初会合を開きました。議題は、所得に応じて減税と給付を組み合わせる給付付き税額控除の制度設計と、食料品の消費税率を2年間0%とする案の同時検討です。高市首相は、社会保障と税の一体改革として「給付と負担」を見直す必要性を強調し、国民に論点が伝わる形で議論を進める姿勢を示しました。参加は自民、維新、チームみらいが中心となり、国民民主党と中道改革連合は見送っています。

食料品税率0%の効果と負担軽減額

消費税は標準税率が10%、食料品などに軽減税率として8%が適用されています。食料品の税率が0%になれば家計負担の軽減が見込まれます。財務省の試算では、軽減税率の負担は年収300万円台の世帯で年5万5000円、年収800万円台で年6万4000円、年収1500万円以上で年8万3000円とされています。税率が0%になれば、単純計算ではこの分の負担が減る計算になります。

最大の論点は財源と実務負担

最大の課題は財源です。食料品の税率を0%にすると、年約5兆円の税収減が見込まれます。高市首相は赤字国債の発行に頼らず、補助金や租税特別措置の見直し、税外収入などで賄う考えを示していますが、具体的な確保策が焦点になります。実務面でも、店内飲食との税率差が広がることで外食産業が影響を受ける可能性が指摘され、レジのシステム改修や値札の貼り替えなど店舗側の負担軽減策も論点に挙げられています。

価格転嫁の実態と期限後の戻し方

海外での減税では、税率引き下げ分ほど最終価格が下がらなかった例があるとされ、物価がどこまで下がるのか事前の検証が必要だとの指摘も出ています。さらに、2年間という期限設定は、終了後に税率を戻す局面で「実質的な増税」と受け止められる余地があり、制度を戻せるのかが論点となります。消費税収の一部は地方に配分されているため、地方財政への影響の扱いも議論対象とされています。

給付付き税額控除の設計と所得把握の難所

給付付き税額控除は、控除額を定め、所得税の納税額から減税し、控除しきれない分は現金などで給付する仕組みです。例として、所得税から5万円を控除する場合、8万円納税している人は税負担が3万円になり、3万円納税の人は差額の2万円が給付され、所得税を払っていない人は5万円の給付となります。制度設計では、対象の所得・年齢要件、給付水準、財源に加え、所得を正確に把握する仕組みや、所得は低いが資産が多い層の扱いが課題となります。海外では米国が25〜64歳または子育て労働者、英国が18〜65歳を対象とする例がある一方、事務手続きの煩雑さから給付のみへ移行した国もあるとされています。

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