キャラクター戦略で拡大狙うキリンの子供飲料

井村 智規
经过

漫画連載と連動した商品でブランド認知を強化

キリンビバレッジは、小学館の児童漫画誌「月刊コロコロコミック」との連携を通じて開発した子供向け健康飲料「キリン つよいぞ!ムテキッズ」を6月17日に発売する。新商品は同誌にて6月13日から漫画連載を開始しており、登場キャラクター「ムテキッズ」を通じてブランド浸透を図る。漫画との連動で購買意欲を高める手法は、食品業界でも注目されている。

子供の“飲みやすさ”と“栄養補給”を両立

この商品は、125ミリリットルという飲み切りやすいサイズで展開され、味はすっきりとしたヨーグルト風味。免疫機能維持に寄与するとされるプラズマ乳酸菌を500億個、さらに鉄分1.5ミリグラムを配合することで、子供の健康を考慮した設計がなされている。常温で9カ月保存できる点も、家庭での利便性を高めている。

地域限定販売で市場反応を慎重に検証

「ムテキッズ」は東北地方を除いた本州と四国のイオングループの一部店舗で先行販売される。3本セットの価格は税抜き300円に設定されており、需要動向を見ながら今後の販売地域や商品展開を柔軟に調整する方針とみられる。地域限定という販売形態は、消費者の反応を見極めるうえで有効な手段である。

消費者ニーズに応じた機能性飲料の展開

キリンビバレッジは、消費者の健康意識の高まりを受け、機能性飲料の開発に注力している。マーケティング部の遠藤楓氏は、「親子の時間に少し余裕が生まれ、笑顔が増える商品にしたい」と述べており、家庭での需要を意識した企画であることがうかがえる。単なる飲料としてではなく、生活提案型の商品と位置づけている点も特徴だ。

中長期的にはヘルスサイエンス分野を重点化

同社は2030年までにヘルスサイエンス飲料の売上を2024年比で2倍以上にする目標を掲げており、「ムテキッズ」はその成長戦略の一環として投入された。子供向け健康商品という新たなセグメントの開拓により、今後のブランド価値向上を図る構えである。

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