県境を越えた統合で大型地銀グループ誕生へ
あいち銀行を傘下に置くあいちフィナンシャルグループと、三重県を地盤とする三十三フィナンシャルグループは、経営統合に向けた基本合意を発表した。統合時期は2027年4月1日をめどとしている。実現すれば、連結総資産が11兆円を超える地方銀行グループが東海地域に誕生する。
両グループは、県境をまたぐ形で経営基盤を広げる。銀行ブランドについては、維持する方向で調整が進められる。地域金融機関の再編が同一県内にとどまらず、隣接県へ広がっていることを示す動きとなる。
あいち銀行と三十三銀行の関係深化が背景に
あいちFGは、2022年に愛知銀行と中京銀行の統合によって発足した。三十三FGは、2018年に三重銀行と第三銀行が統合して誕生した。いずれも県内地銀同士の再編を経て、地域内での基盤を固めてきた経緯がある。
あいち銀行の前身である愛知銀行と三十三銀行は、すでに関係を深めていた。2023年4月にはATMの相互利用で、キャッシュカード利用時の平日日中手数料を無料にする取り組みを始めた。今回の基本合意は、これまでの連携をさらに踏み込ませる動きと位置付けられる。
金利上昇で預金と貸し出しの重要性が増大
日銀の利上げにより、金融環境は長く続いた低金利局面から変化している。金利上昇の局面では、預金量や貸し出し残高の拡大が金融機関の収益に反映されやすくなる。東海地域では企業活動が活発で、特に自動車産業を中心に資金需要が見込まれる。
中部地方は、従来から貸出金利が低い「ナゴヤ金利」で知られてきた。それでも、金利のある環境への移行により、収益環境は改善しつつある。両グループは規模を拡大することで、顧客基盤や営業力を高める狙いを持つ。
東海の地域金融で連携と再編の動き相次ぐ
東海地方では、金融機関の統合や連携が続いている。2026年3月には、静岡銀行を傘下に持つしずおかフィナンシャルグループと名古屋銀行が、2028年4月をめどに経営統合を目指すことで基本合意した。単純合算で総資産は20兆円超に達する規模となる。
信用金庫でも動きがある。愛知県岡崎市の岡崎信用金庫と浜松市の浜松いわた信用金庫は、2026年2月に業務連携を発表した。地銀だけでなく、地域金融全体で合従連衡の流れが強まっている。
攻めの統合が地域金融再編の焦点に
あいちFGと三十三FGの統合は、地域シェアを守るための再編から、県域を越えて規模を追求する再編へ移る動きを示している。過去の統合は同じ県内での基盤確保が中心だったが、今回の合意は広域での成長を意識した枠組みとなる。
地方銀行再編では、総資産20兆円が一つの目安として意識されている。あいちFGの株主でもある投資ファンド、ありあけキャピタルの田中克典社長は、総資産20兆円について「資本市場との本格的な接続を可能にする『しきい値』」と述べた。東海地域の金融再編は、今後も規模と収益力を軸に進む構図となっている。
