非公開化を巡る価格競争が鮮明に
カカクコムの非公開化をめぐる動きで、LINEヤフー側は買い付け条件を修正した。LINEヤフーは5月14日、米投資会社ベイン・キャピタルと組み、カカクコムに対して1株3232円でTOBを行う案を再提示したと明らかにした。従来の1株3000円から価格を引き上げた内容となる。
カカクコムは購買支援サイトや飲食店情報サイト「食べログ」を展開している。消費者の検索や比較、予約に関わるサービスを持つ企業であり、デジタル領域の事業基盤として評価されている。LINEヤフーの再提案は、こうした事業資産を取り込む狙いを示す動きとなった。
EQTのTOBに賛同した直後の展開
カカクコムは5月12日、スウェーデンの投資会社EQTグループが示したTOBに賛同すると発表していた。EQTの買い付け価格は1株当たり3000円で、買い付け期間は7月2日までの予定である。LINEヤフー側の再提案は、この賛同表明の直後に行われた。
このため、カカクコムの取締役会が今後どのような判断を示すかが注目される。すでに支持を表明したEQT案に対し、より高い価格を提示したLINEヤフー案をどう評価するかが焦点となる。複数の買収条件が示されたことで、株主にとっては提案内容の比較が重要になる。
市場は追加提案の可能性を意識
カカクコム株は5月13日に前日比17%高の3425円で取引を終えた。これはLINEヤフー陣営が示した3232円を上回る価格であり、市場では買収条件のさらなる変化が意識されている。14日の株価は一時3271円まで下げた後、3480円まで上昇する場面があった。
終値は3400円となり、引き続きTOB価格を上回る水準だった。独立系株式アナリストのトラヴィス・ランディ氏は、EQTが対抗案を出す可能性が高いと指摘した。同氏はカカクコムの潜在価値を踏まえ、1株当たり3600円から3800円程度を見込むとの見方を示している。
データと予約接点を巡る戦略的価値
LINEヤフーは生成AIを使ったサービス拡充を進める方針を示している。カカクコムが持つ価格比較や飲食店情報、座席予約などの接点は、同社のサービス展開と結び付く領域である。利用者の行動に近いデータを活用できる点が、買収提案の背景にある。
食べログは飲食店情報だけでなく、予約を通じてユーザーと店舗をつなぐ機能を持つ。こうした顧客接点は、AIによる検索支援や推薦サービスと組み合わせる余地がある。LINEヤフーはカカクコムのデータやサービス基盤が相乗効果を生むと説明している。
株主対応が買収の行方を左右
カカクコムには、アクティビスト株主のオアシス・マネジメントが約20%を保有している。同ファンドの判断は、TOBの成否を左右する要素の一つとなる。買収価格や企業価値の評価を巡り、主要株主がどの案を支持するかが重要な論点となる。
カカクコムはLINEヤフー側から提案書を受け取ったことを認め、内容を検討するとしている。EQT案への賛同、LINEヤフー陣営の価格引き上げ、市場価格の推移が重なり、非公開化を巡る状況は複雑さを増した。今後はカカクコムの対応と、各陣営による条件変更の有無が焦点となる。
