両国関係の再構築が焦点となる局面
中国の習近平国家主席とフランスのマクロン大統領が12月4日に北京で会談し、国際的な不安定要因が続く中で両国がどのように協力を強化するかを協議した。人民大会堂で行われた会談では、外交・経済・安全保障にわたる幅広い議題が取り上げられ、両国関係の再構築が意識される内容となった。マクロン大統領の訪中には大規模な経済代表団が同行し、実務的な接点の拡大も意図されていた。
経済交流の拡大と産業協力の見通し
会談では、エネルギーやAI、原子力、航空宇宙など多様な産業分野での連携が中心的なテーマとなった。習主席はフランス産品の輸入拡大に意欲を示し、民間企業を含めた協力の加速に前向きな姿勢を示した。一方、ヨーロッパ連合(EU)と中国の間では電気自動車分野で対立が続いており、マクロン大統領は経済の均衡に向けた制度改善の必要性を強調した。また、今回の訪問に合わせた大規模発注や関税面での新たな措置は見送られ、慎重な協議が続くとの姿勢が浮き彫りとなった。
国際安全保障への対応と外交的協調
ウクライナでの戦闘継続が国際社会に影響を与える中、両首脳は紛争の収束へ向けた協力の在り方を議論した。マクロン大統領は国際秩序の安定には広範な協議が欠かせないと指摘し、中国の役割拡大を求めた。これに対し、習主席は国家間が独立した外交判断を維持する必要性を主張し、外部環境が変化しても戦略的視野を保つべきだと述べた。また、中国はガザやウクライナへの人道支援の継続に取り組む姿勢を示した。
台湾情勢の議論と地域への影響
台湾を巡る状況についても意見が交わされた。習主席は台湾問題を中国の重要な利益と位置付け、フランスに理解と支持を求めた。日本が最近示した台湾関連の発言に反応する形で、地域の緊張を高めかねない動向を抑制する必要性を示唆したといえる。一方、マクロン大統領は「一つの中国」政策の維持に触れつつも、対話が不安定要因を和らげる手段になるとの認識を示した。
合意文書の締結と今後の協力課題
会談後、投資や原子力、高齢化対策、パンダ保護など合計12件の協力協定が締結され、両国の協力体制が制度面で広がりをみせた。また、習主席はパレスチナ支援として1億ドルの追加拠出を明らかにし、国際人道支援への関与を続ける姿勢を示した。マクロン大統領は翌日、四川省成都を訪れる予定で、習主席が同行する日程が組まれている。中国が欧州諸国との関係安定を図る中で、今回の協議は両国関係の方向性を確認する重要な節目となった。
