南アジア系イスラム教徒として歴史的当選
ゾーラン・マムダニ氏（34）がニューヨーク市長に当選する見通しとなった。主要メディアによると、民主党候補として出馬した同氏は過去100年以上で最年少の市長となり、同市初のイスラム教徒市長でもある。アフリカ・ウガンダで生まれ、7歳でニューヨークに移住したマムダニ氏は、多様性の象徴として注目を集めている。
「世襲政治を倒した」と勝利宣言
支持者を前に行った演説で、マムダニ氏は「私たちは世襲政治を終わらせた」と宣言した。変革を求める有権者の声が勝利を導いたと強調し、「市民が自らの手で経済を取り戻す時が来た」と述べた。BBC提携局の集計では、マムダニ氏が50.3％の得票で、無所属のアンドリュー・クオモ前知事（41.6％）を破り、共和党候補のスリワ氏は7％台にとどまった。
トランプ大統領へ「音量を上げろ」と挑発
マムダニ氏は演説の中で「Turn the volume up!（音量を上げろ）」と叫び、同郷のトランプ大統領に直接言葉を投げかけた。「彼を倒せるのは、彼を生み出したこの街だ」と述べ、移民を中心とした市政運営を進める姿勢を鮮明にした。市政方針では家賃凍結、公共交通・保育の無償化、富裕層増税などの社会改革を掲げている。
左派的政策と財源をめぐる議論
マムダニ氏の掲げる政策は、低所得者層の生活改善を目指す一方で、企業負担の増加や財源確保の難しさを指摘する声もある。ニューヨーク経済の回復局面において、急進的な増税政策が企業流出につながる可能性が懸念されている。しかし、支持者の多くは「格差の是正に必要な改革」として肯定的に受け止めている。
今後の米政界への影響
今回の市長選で民主党が主要都市を制したことは、中間選挙を控えた共和党への打撃となる可能性がある。トランプ大統領はSNSで「敗因は自分が投票用紙に載っていなかったこと」と主張したが、政治専門家は「生活コストや雇用問題への不満が背景にある」と分析。マムダニ氏の勝利は、都市部の政治潮流が再び左傾化する兆しを示した。
