ロシア、無制限航続の核兵器を強調 西側圧力に対抗

宇津木 柊
经过

長距離原子力兵器で「迎撃不能」能力を誇示

ロシアのプーチン大統領は10月29日、原子力を動力源とする新型魚雷「ポセイドン」の稼働実験が成功したと発表した。航続距離は「ほぼ無制限」とされ、迎撃手段の存在しない次世代兵器であると強調した。プーチン氏は病院で負傷兵と面会した際、この成功を報告し「世界のどの国も持たない戦略兵器だ」と述べた。

同時に巡航ミサイル「ブレベスニク」も発射成功

ロシアは魚雷実験に先立つ10月21日、原子力推進巡航ミサイル「ブレベスニク」の試験発射を実施した。飛翔距離1万4000キロ、滞空時間15時間という成果が報告され、プーチン氏は「完全な成功」として実戦配備の準備を進める方針を示した。北大西洋条約機構(NATO)はこの兵器を「SSC-X-9スカイフォール」と呼び、従来の防衛網では迎撃が困難と警戒を強めている。

プーチン氏、「サルマト超えの威力」と強調

プーチン氏は「ポセイドン」の破壊力について、大陸間弾道ミサイル(ICBM)サルマトを上回ると述べた。搭載原子炉の規模は原子力潜水艦の100分の1ながらも、高出力を維持し長期間の作戦行動が可能と説明した。この技術的優位は、ロシアが掲げる「非対称的抑止力」の象徴とされる。

トランプ政権の停戦圧力を無視する姿勢

米国のトランプ大統領はウクライナとの停戦をロシアに求めているが、プーチン政権は強硬な立場を崩していない。今月行われた戦略核兵器演習に続く今回の実験発表は、西側諸国への明確な警告とみられる。ロシアは「自国の安全保障を脅かす動きには断固対応する」との姿勢を改めて示した。

軍事技術競争の新段階に突入

一連の実験成功は、ロシアが長距離核兵器の分野で新たな段階に入ったことを示している。米欧がミサイル防衛網の強化を急ぐ一方、ロシアは「無敵兵器」による抑止力の確立を進めている。こうした動きは国際社会の不安定化を招く恐れがあり、今後の軍事バランスの行方が注視されている。

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