エヌビディアとノキアがAI-RANで協力 株価17%上昇

早瀬 涼真
经过

ノキアがエヌビディアとの戦略的提携を発表

ノキア(Nokia)は10月28日、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)から10億ドルの出資を受けると発表した。両社はAIネットワークおよび無線通信インフラ分野での協業を強化し、次世代のAI-RAN(無線アクセスネットワーク)市場を主導する構えを見せた。発表後、ノキア株はヘルシンキ市場で17%上昇した。

エヌビディアが新株を取得、11月に完了予定

今回の投資でエヌビディアは、1株6.01ドルで1億6,638万株超のノキア新株を取得し、発行済み株式の2.9%を保有する。新株の発行は11月中に登録され、取引開始後はナスダック・ヘルシンキ、ユーロネクスト・パリ、NYSEでの売買が可能となる予定だ。発表直前にはノキアのADR取引が一時停止され、市場の関心の高さを示した。

「AIスーパーサイクル」戦略の実現へ

ノキアは調達資金を、自社が掲げる「AIスーパーサイクル」戦略の加速に活用する計画を明らかにした。AI時代の信頼性ある通信網の構築を目指し、5Gおよび6Gソフトウェアの開発強化、クラウドおよびデータセンター技術の拡充を進める方針だ。AI通信基盤を担う企業として、グローバル市場での競争力を高める狙いがある。

エヌビディアとの技術融合が鍵に

両社は今後、ノキアのデータセンター・スイッチング技術と光ネットワーク技術をエヌビディアのAIインフラ・アーキテクチャに統合することで、AIネットワーク分野でのシナジーを創出する見通し。特にAI処理と通信のリアルタイム連携を可能にするRAN技術の進化が焦点となる。

通信と半導体の連携が示す業界の変化

今回の提携は、通信インフラと半導体技術の融合が本格化していることを象徴している。エヌビディアはAIデータ処理に強みを持ち、ノキアは通信ネットワークでの豊富な知見を有する。両社の協業により、AI時代のネットワーク構造は大きく変化し、グローバル通信市場に新たな競争軸が生まれるとみられる。

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