トランプ政権の麻薬戦略、同盟国コロンビアと衝突

井村 智規
经过

麻薬取締作戦を巡る激しい応酬

トランプ米大統領が主導するカリブ海での麻薬取締作戦をきっかけに、米国とコロンビアの関係が急速に悪化している。17日の爆撃で3人が死亡した事件を受け、トランプ氏は「ペトロ政権は麻薬生産を奨励している」と発言。これに反発したコロンビアは20日、駐米大使の召還という異例の措置を取った。

米軍の攻撃と政権の主張

米国防長官のピート・ヘグセス氏は、爆撃の標的が「左翼ゲリラELNと関係を持つ麻薬運搬船」だったと説明したが、証拠は示されていない。ペトロ大統領は「一般家庭の所有船が誤爆された」と反論し、国際調査の必要性を訴えた。両国の主張は平行線をたどり、軍事行動の正当性を巡る緊張が続く。

経済支援停止と制裁強化の方針

トランプ氏は19日、コロンビアへの財政支援打ち切りと新たな関税導入を発表した。コロンビアはこれまで南米最大の米国援助国であり、その半分が麻薬対策費に充てられてきた。今回の措置により、同国経済と治安政策への影響は避けられないとみられる。

外交的報復と非難の応酬

コロンビア政府はトランプ政権の対応を「内政干渉」として非難し、外務省を通じて正式な抗議文を提出した。ペトロ政権幹部は、米国が「麻薬撲滅」を名目に南米諸国の主権を侵害していると指摘している。一方、トランプ氏は「麻薬テロリストへの対応だ」として正当性を主張し、態度を変えていない。

国際社会が注視する南米情勢

トランプ政権による一連の軍事行動では、これまでに少なくとも7隻の船舶が攻撃され32人が死亡したと報告されている。国連総会での非難演説に続き、ペトロ氏は「米国の行動は国際秩序を揺るがす」と警告した。コロンビアの外交的孤立と地域の緊張拡大を懸念する声が広がっている。

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