誤情報拡大でJICA事業撤回 自治体に抗議集中

宇津木 柊
经过

地方とアフリカを結ぶ取り組みが発足

JICAは、日本の地域とアフリカ諸国を「ホームタウン」として結び、交流を通じた相互発展を目的に事業を開始した。長井市、木更津市、三条市、今治市が認定され、各都市は人口減少や雇用確保などの課題解決に期待を寄せていた。

海外発表が誤解を呼んだ経緯

ナイジェリア政府が「日本が特別なビザを新設する」と発表したことで混乱が始まった。一部報道やSNS投稿が「移民定住制度」と受け止められ、誤情報が急速に拡散。否定情報が公表されても批判は収まらず、各自治体は抗議や不安の声に追われることとなった。

今治市に集中した抗議の実態

モザンビークと連携する今治市では抗議や問い合わせが6000件近くに達し、市役所業務に大きな影響が出た。職員の疲弊も深刻化し、市施設には落書き被害まで発生。市観光課の担当者は「職員が心身ともに疲弊していた」と現状を語った。

JICAの撤回方針と見解が公表

田中明彦理事長は「誤解を正そうと努めたが、自治体業務への負担を考慮し、撤回を決断した」と説明。「混乱に屈した意識はない」と述べ、事業そのものよりも環境整備の不足が要因と強調した。外務省も「期限付き研修で移民促進ではない」と再度説明した。

課題と今後の展望が示された影響

撤回は確定的となったが、関係自治体やNPOは国際交流の重要性を改めて指摘。専門家は「感情的反発に迎合するのは問題」と警鐘を鳴らし、今後は正確な情報発信と議論を通じた合意形成の必要性を強調している。

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