誤情報で混乱、北九州市給食をめぐる真相

井村 智規
经过

市に寄せられた抗議の増加が判明

北九州市の学校給食をめぐり、「ムスリム向け特別給食が決定された」とする投稿がSNSで急速に拡大した。これにより市には「日本の給食に宗教色を持ち込むな」などの抗議が集中し、1000件以上の苦情が寄せられた。短期間での広がりが行政側に深刻な影響を与えている。

教育長が誤情報を全面否定

24日、小倉北区役所で行われた会見で太田清治教育長は「ムスリムに特化した給食の決定事実は存在しない」と述べ、拡散情報を否定した。会見の場では、虚偽の情報が市民に誤解を生じさせ、教育現場にも影響を与えたことが強調された。

議会への陳情とその処理の経過

問題の発端となったのは、2023年に提出された豚肉除外を求める陳情である。市議会で審議されたものの採択には至らず、今年2月に正式に廃案となっていた。しかし、SNSでは「採択された」と誤って解釈される形で拡散した。この経過が誤認の要因となっている。

アレルギー対応策が誤解を誘発

さらに、同じ2月に市がアレルギー対応の一環として28品目を除いた給食を導入したことも混乱を助長した。この措置には豚肉も含まれており、誤って「宗教対応」と結び付けられた可能性がある。教育委員会は「事実が曲解された」と説明している。

情報の正確性確保の必要性

今回の一連の騒動は、行政への不信や社会的な摩擦を生じさせる一因となった。市教委は「子どもたちが共に食事を楽しめるよう今後も工夫を重ねる」との方針を示す一方、誤情報の拡散を防ぐため正確で迅速な情報発信の重要性が浮き彫りとなった。

この記事をシェア