米国、外国人技能者ビザに高額費用を課す新制度

宇津木 柊
经过

高度人材ビザ申請に10万ドルの支払い義務

米国トランプ大統領は、ITなどの専門分野で働く外国人向けのH-1Bビザ制度に関する大統領令に署名した。新制度では申請に10万ドル(約1480万円)を求めることが定められ、従来の登録料や申請料と合わせると負担は飛躍的に増大する。

制度見直しの狙いと米国人雇用保護

ホワイトハウスは、H-1B制度の過剰利用が米国人労働者の雇用機会を奪っていると説明。今回の措置は雇用の確保を目的としたもので、外国人依存を減らし米国人の就業を優先させる姿勢を鮮明にした。商務長官も「国内で育った人材を企業は採用すべきだ」と強調している。

IT業界中心に広がる懸念

アメリカ国内では、H-1Bプログラムに依存するIT関連産業がとりわけ強い影響を受けるとみられている。米国市場では19日、ITコンサルティング関連株が下落する動きを見せ、企業の不安感が表面化した。インドや中国からの専門人材に依存してきた構造が揺らぐ可能性が高い。

一部免除の可能性と新たな規制措置

布告には、国家の利益にかなう場合は免除を認める条項も盛り込まれている。さらに、労働長官に対し、H-1Bプログラムにおける賃金規定の改定を命じる計画もあり、低賃金労働を目的とした利用の抑制を狙う姿勢が打ち出されている。

今後の動向と移民政策の影響

今回の高額手数料導入は、トランプ政権が進める移民政策強化の一環として位置づけられる。40万人規模の利用実績があるH-1B制度が大きく変化することで、労働市場や産業界に新たな波紋を広げている。企業と政府の対応次第で、米国の人材戦略は転換点を迎えることになる。

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