政策金利3年ぶりの水準に引き下げ
カナダ銀行は17日、主要政策金利を25ベーシスポイント引き下げ、2.50%とした。利下げは半年ぶりで、2022年以来の水準となる。決定は7人の政策理事会で全会一致となり、経済リスクの高まりに対応する姿勢が示された。
労働市場の失速が鮮明に
カナダ経済は当初、米国の関税政策の影響を受けながらも堅調さを保っていたが、直近2カ月で雇用の勢いが失われた。失業率は新型コロナ期を除き9年ぶりの高さに達し、景気後退の懸念が強まっている。これにより、家計消費の低迷がさらに進む可能性が指摘されている。
インフレ見通しと物価動向
インフレ指標は依然として3%近辺にあるが、基調的な動きは2.5%前後と落ち着きを見せている。政府による米国製品への報復関税撤廃が価格上昇圧力を和らげる一方、輸出減や企業コスト増が懸念材料となっている。中銀は「インフレ急騰のリスクは限定的」との判断を示した。
不透明な国際環境と政策対応
マックレム総裁は会見で「米国の関税により不確実性が続く」と強調した。声明では、景気減速とインフレ鈍化を踏まえ、政策金利の引き下げが「リスクバランスを適正にする」と説明した。さらに「必要とあれば短期的に行動する準備がある」と言及した。
今後の展望と金融市場の見方
金融市場は10月29日の会合で追加利下げが行われる可能性を約半数の確率で織り込んでいる。専門家の一部は最終的な政策金利が2.25%に達すると予測している。今後は貿易環境や雇用情勢がカナダ経済の行方を大きく左右するとみられ、政策判断への注目度が一層高まっている。