エヌビディアに中国が制裁の可能性を示唆

早瀬 涼真
经过

違反調査の結果を発表

中国の国家市場監督管理総局は9月15日、米国の半導体大手 エヌビディア が独占禁止法に抵触したと発表した。発表によれば、昨年12月に開始した予備調査の結果、違反が認められたとされる。ただし現時点では具体的な処分は示されておらず、今後の追加調査に基づき判断が下される見通しだ。

承認条件の違反を問題視

当局はまた、2020年にエヌビディアがイスラエル企業を買収した際に、中国政府が設定した承認条件に違反しているとも指摘した。この承認条件は独占的な市場支配を防ぐ目的で設けられたもので、違反が確定すれば制裁金が科される可能性がある。これによりエヌビディアの中国市場での事業展開に不確実性が生じている。

米中協議の場と重なる異例の公表

今回の発表は、スペイン・マドリードで開催中の米中閣僚級貿易協議と時期が重なった。米国は半導体分野で輸出規制を強化しており、中国はこれに反発して対抗措置を模索している。違反認定の発表は、交渉における圧力の一環として行われたとみられる。

米国側の反応と批判

米財務長官 ベセント は15日、協議後の記者会見で「調査結果の発表時期は不適切だ」と批判した。米中間では半導体を含むハイテク分野での緊張が高まっており、今回の認定はその対立をさらに深める要因となり得る。エヌビディアの存在感が交渉の焦点に浮上している。

半導体分野で激化する米中対立

エヌビディアはAI分野での需要急増を背景に、売上・利益ともに過去最高を記録している。中国当局は7月にも同社に対し、中国市場に供給される製品の安全性について説明を求めていた。今回の動きは、半導体を巡る米中の攻防が今後も続くことを示すものとなっている。

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