高関税停止期限直前の米大統領発言
8月12日に米中間の関税停止措置が期限切れとなるのを前に、トランプ米大統領は中国に米国産大豆の輸入量を現状の4倍へ増加させるよう呼びかけた。SNS投稿では「速やかな拡大」を求め、その実施が米中貿易赤字の改善に寄与すると強調した。
大豆先物価格が2%超上昇
この発言を受け、シカゴの大豆先物価格は2%余り上昇し、1週間ぶりに1ブッシェル=10ドル台を回復した。米国農家にとっては好材料となったが、価格の持続的上昇には実際の輸入拡大が伴う必要がある。
中国の輸入構成と現状の依存度
中国は世界最大の大豆輸入国で、2024年の総輸入量は約1億500万トンに達した。このうち米国産は25%未満にとどまり、残りの大部分はブラジルからの輸入だった。仮に輸入量を4倍に増やすとなれば、ほぼ全量を米国から調達することとなり、現行の取引構造を大きく変える必要が生じる。
実現性を巡る専門家の見解
北京の農業コンサルタントは「中国が短期間で輸入量を4倍にするのは極めて低い可能性」と述べ、物流や契約面での制約も指摘した。特に第4四半期に向けた中国側の米国産大豆購入の動きはまだ確認されていない。
調達多角化と米農家への影響
中国はブラジルからの大豆輸入を拡大し、アルゼンチンからの大豆ミールも試験的に導入している。こうした動きは供給の多様化を進める一方で、米国産大豆の市場シェア縮小を招いており、米農家は新たな販路開拓を急ぐ状況にある。