ウクライナ支援で費用負担を回避する米国の戦略

長峰 詩花
经过

経済制裁と兵器供与を両輪とする新方針を表明

トランプ米大統領は、ロシアが50日以内にウクライナとの停戦に合意しなければ、100%の二次関税を発動すると表明した。この発言は、NATOのルッテ事務総長との協議の場で示されたものであり、アメリカの支援方針が軍事から経済制裁へと転換する兆しを示している。

米国負担ゼロを明確化、兵器はNATO予算で調達

トランプ氏はウクライナに対し、地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」などの高度兵器を供給する方針を明言したが、その費用についてはNATO加盟国が負担するとした。「我々は兵器を製造するが、支払うのは彼らだ」と発言し、米国の財政的責任を回避する構えを見せた。

原油市場も反応、供給国への圧力が顕在化

この措置は、ロシア産エネルギーの国際取引に依存する国々にも打撃を与える可能性がある。特にインドや中国に対する関税措置は、エネルギー価格や地政学的バランスにも影響を及ぼす。WTI原油先物は2.1%下落し、1バレル67ドルを割った。

議会でも制裁強化の動き、500%関税案も浮上

米議会上院では、ロシア産の石油・ガスを購入する国に最大500%の関税を課す法案の準備が進められており、ホワイトハウスの外交圧力と連動する可能性が高い。こうした包括的な対ロ包囲網の強化は、ロシアの資金源を断つ目的にほかならない。

ロシアとの和平交渉への直接的圧力を強化

トランプ氏は「2か月前には和平合意が可能だと信じていた」と述べながらも、プーチン大統領の姿勢に対し強い失望感を示した。同氏の発言は、かつてはゼレンスキー政権に批判的だった姿勢からの明確な転換でもある。今後は直接的な圧力を背景に和平実現を狙う方針とみられる。

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