トランプ氏、マスク氏の政界挑戦に不快感示す

笠原 美琴
经过

かつての協力関係から一転、関係悪化が鮮明に

トランプ政権で連携していたイーロン・マスク氏とトランプ大統領との間で、関係の悪化が顕在化している。マスク氏はトランプ氏の財政方針を度々批判しており、その延長線上で新党「アメリカ党」の設立を発表した。発言は以前から断続的にあったが、今回はSNS上で正式に発信した形だ。

二大政党制の根幹に揺さぶりをかける構図

アメリカでは共和党と民主党による二極体制が続いており、トランプ氏は「第三の党の立ち上げは常に混乱をもたらす」と明言。新党の存在が現政権にとって脅威であることをにじませた。マスク氏はこの構造自体に問題意識を持っており、根本からの改革を目指す姿勢を示している。

「アメリカ党」設立の経緯と支持の広がり

マスク氏は、SNS「X」で「アメリカ党」を立ち上げるべきかを問うアンケートを実施し、約65%が賛同したという。この結果を受け、7月5日に「結成する」と発表した。これにより、共和・民主両党の固定支持層以外の票を取り込む動きが始まったとみられる。

政策不一致が決定的要因、減税策に反発

マスク氏は、トランプ政権の大規模減税法案が財政赤字を悪化させると批判し続けてきた。この点が両者の最大の対立軸となっており、政策的な相違が新党設立という形で表出した。これにより、マスク氏が政権内部から完全に距離を取ったことが明確になった。

今後は議会選が焦点、構造変革の可能性も

マスク氏は新党の目的として「今後12カ月は上下院選に集中する」と述べ、大統領選を視野に入れつつも、まずは議会内での影響力拡大を狙っている。新勢力の登場が、現行の政党地図にどこまで変化をもたらすかが注視されている。

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