雇用統計が示す二極化、政策判断に影響

早瀬 涼真
经过

予想上回る雇用増加が経済の底堅さを示唆

2025年6月におけるアメリカの非農業部門就業者数は、前月比で14万7000人の増加となり、市場の見立てを上回った。この結果は、関税政策による景気の不透明感が続く中でも、労働市場に対する信頼感を支える要因となっている。

連邦と州政府で雇用動向に明確な差が発生

トランプ政権が掲げる歳出削減方針により、連邦政府職員数は年初から6万9000人減少した。その一方で、州政府では6月中に4万7000人の職員が新たに雇用されており、退職者の再雇用先としての役割を果たしている。政府部門間での雇用構造の転換が進行している状況だ。

米失業率が4.1%に、前月からわずかに下振れ

雇用増加とあわせて、失業率も0.1ポイント低下し4.1%となった。数値上の改善が確認されたことは、労働市場の堅調さを裏付ける一因とみなされ、米経済全体の安定感を印象づけるものとなっている。

円安進行、利下げ観測の後退が要因に

ニューヨーク為替市場では、統計の内容を受けて円売りが強まり、1ドル=145円前後まで円安が進行した。これは、FRBが利下げを急がないとの見方が広がったことが直接的な背景となっている。発表前と比較して約1円の変動幅が観測された。

政策決定会合への影響と市場の視線

FRBの次回会合は7月29日から予定されているが、雇用統計を受けて利下げに踏み切るとの見方は5%未満に低下。会合における金融政策の決定は、今後の経済指標次第で再び変動する可能性がある。市場の注視が続く中、当局の対応が注目される。

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