経済紛争への対応力強化を狙った動きが進展
中国が主導する「国際調停院」設立に関する協定が、5月30日に香港で締結され、32カ国が署名した。この機関は国家間だけでなく、企業同士の国際的な経済紛争にも対応する構想が示されている。
香港を拠点とし多国間調整の拠点に位置付け
新設される国際調停院は香港に本部を置く。現地メディアの報道では、2025年末から翌年初頭の業務開始が見込まれており、香港がアジアの調停拠点としての機能を果たすことが期待されている。
調停は柔軟な合意形成を前提とした制度設計
当事国が同意しない場合には調停内容を拒否できるほか、調停途中での中断も可能とされており、強制力を持たない形式での紛争解決手段が提供される。自発的な合意形成を重視する姿勢が明確だ。
国家と企業間の摩擦にも対応を拡大
国家同士の衝突だけでなく、外国企業との契約上の摩擦、投資を巡る争いといった民間部門の国際紛争も扱う方針であり、経済活動の円滑化に寄与するとの期待が寄せられている。
グローバルガバナンスにおける影響力を拡大
中国は今回の調停院設立を通じて、西側の主導する国際枠組みに対抗しつつ、グローバルガバナンスの分野での存在感を高める狙いがある。参加国の動向も今後の鍵を握る。