メルカリ、「スイッチ2」騒動を受け出品ルール刷新 転売対策の実効性問われる

井村 智規
经过

転売問題を契機に新指針を導入

メルカリは9日、出品ルールを見直し、不正出品や高額転売が発生した商品を禁止対象にできる仕組みを導入した。今年6月に発売された「ニンテンドースイッチ2」での転売混乱を教訓に、取引の公正性を保つ狙いだ。社内外の有識者による検証の結果、「当時は出品を禁止すべきだった」との結論に達したという。

転売・詐欺行為の横行に危機感

スイッチ2発売後、高額転売や偽造品販売、誤認を狙った空箱出品が多発し、利用者間のトラブルが相次いだ。さらに、転売者への中傷も広がったことから、メルカリは市場混乱を防ぐための新たな判断基準を設けた。違反やトラブルが繰り返され、価格変動が過激化した場合には出品停止を決定できる。

新基準の狙いと透明性確保

新ルールは、単に価格の高騰を理由に出品を制限するものではなく、安全・信頼・人道的基準を補完する新たな枠組みとして導入された。山本真人執行役は会見で「透明性への説明が不足していた。これからは明確な基準で判断する」と語った。一方で、メルカリは利用者の自由な取引を制限しすぎない方針も維持している。

他社との差が浮き彫りに

競合するLINEヤフーは、スイッチ2を「買い占めによる混乱を招く恐れのある商品」として発売当初から出品禁止に設定し、今も継続中である。これに対しメルカリは「市場の動向を注視しながら対応を検討する」としており、実効性のある対策をどこまで講じるかが問われている。

公平な市場形成へ信頼回復が焦点

過去の「ハッピーセット」転売では、食品の大量廃棄が社会問題化し、メルカリが批判を受けた。今回の見直しはその反省の延長線上にある。市場の透明性と自由度を両立させることが、メルカリが直面する課題であり、出品禁止基準の実効性と説明責任が企業の信頼回復の鍵を握る。

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