信頼性重視のAI政策始動、政府が基本計画を決定

笠原 美琴
经过

初のAI基本計画を正式決定

政府は12月23日、人工知能に関する初の基本計画を閣議で決定した。計画は、AIの利活用を加速させる一方で、安全性や信頼性の確保を重視する内容となっている。日本を「信頼できるAI」を軸にした国際的な拠点とする方針が示された。

開発と活用を同時に推進

基本計画では、AIの利活用促進と開発力の戦略的強化を両輪と位置付けた。質の高いデータや通信インフラを生かし、国産AIの基盤モデル構築を進める。ロボットと連動するAI技術も重点分野とされ、日本の産業構造との親和性が強調されている。

政府主導で社会実装を拡大

政府や自治体がAI導入を先行させることで、社会全体への波及効果を狙う。中央省庁では、デジタル庁が開発した専用AIを活用し、調査や文書作成の効率化を進める。行政現場での実績を積み重ねることで、AI活用への不安軽減につなげる考えだ。

安全性評価と人材育成を重視

国民の不安に対応するため、AIの安全性を評価する政府機関の体制を強化する。あわせて、AI人材の育成・確保も柱に据え、小中学校段階から基礎知識を学ぶ必要性を明記した。長期的な人材基盤の整備が不可欠とされている。

投資規模と工程表が課題

計画に盛り込まれた支援額は5年間で1兆円規模にとどまり、海外主要国との差は大きい。政府は今後、投資目標や施策を具体化した工程表を毎年見直す方針だ。実効性ある戦略を示せるかが、計画の信頼性を左右する。

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