国籍情報管理を巡る制度的課題
政府は、外国人による国内不動産取得について、制度上の把握が限定的である点を課題としてきた。特に、防衛関係施設周辺や国境離島などの重要区域では、取得主体の実態が十分に確認できない状況が続いていた。こうした背景から、国籍情報を明確に取得する制度整備が求められていた。
法人取得における新たな確認基準
令和8年度から導入される新制度では、重要土地や大規模土地、森林を法人が取得する場合、従来の代表者国籍に加え、役員や議決権の過半数を同一の外国籍が占める場合、その国籍の届け出が義務付けられる。法人の所在地や名称のみでは把握できなかった実態を補完する仕組みとなる。
国内法人を介した取得への対応
これまで、外国資本が国内法人を通じて重要な土地を取得するケースでは、制度上の把握に限界があった。今回の見直しにより、実質的な支配構造に基づく国籍確認が可能となり、取得主体の透明性向上が図られる。形式上の法人区分に依存しない点が制度の特徴とされる。
森林分野で拡張される国籍登録
森林については、法人取得に加え、個人が取得する場合にも国籍登録を求める。これまで森林所有者の国籍を制度的に把握する仕組みは存在せず、今回の改正で管理対象が拡大する。土地利用の実態把握を進める上で重要な分野と位置付けられている。
登記制度連動と今後の運用体制
不動産の移転登記などの申請時に、国籍を記載させる運用も令和8年度中に開始される見通しだ。政府は、令和9年度中の稼働を目指して整備するデータベースに法人情報も統合し、外国人による不動産所有状況を一元的に管理する方針を示している。
