成長戦略と外国人政策、両輪で始動する新政権の布陣

井村 智規
经过

高市政権の成長戦略本部が正式発足

高市早苗首相は4日、新政権の柱となる「日本成長戦略本部」の初会合を開き、経済構造を再強化するための取り組みを開始した。首相は「強い供給構造を築くための成長戦略を力強く推進する」と述べ、来夏までに具体的な戦略をまとめる方針を表明した。岸田・石破両政権で設置されていた「新しい資本主義実現会議」は廃止され、新体制での経済再構築が進む。

危機管理投資を成長の核に

新たな戦略では、人工知能(AI)や半導体、造船、航空・宇宙、サイバーセキュリティーなど17分野を重点領域とし、官民一体での投資促進を図る。城内実経済財政相が重点項目の取りまとめを担い、複数年度にわたる予算措置を検討。防衛調達や規制緩和を通じて、国内需要の拡大も視野に入れる。経済安全保障と産業競争力を同時に高めるのが狙いだ。

外国人政策会議も同日に始動

同日には、外国人政策に関する関係閣僚会議の初会合も官邸で開催された。高市首相は、外国人によるルール遵守や制度の適正運用、国土利用の健全化を指示し、2026年1月までに基本方針をまとめると述べた。小野田紀美外国人共生担当相を中心に、在留管理や土地取引の透明化、日本語教育の充実策などを進める構えだ。

共生と安全保障を両立させる方針

外国人政策では、社会の不安解消と多文化共生の両立が課題となる。政府は排外的姿勢を否定しつつも、制度悪用や治安への懸念に対しては厳格に対応する姿勢を示した。土地取引における国籍把握制度や、健康保険料の滞納防止措置の導入など、具体的な制度整備が進む見通しだ。

新たな経済・社会モデルの形成へ

成長戦略本部と外国人政策会議の始動は、高市政権の政策運営の方向性を象徴するものとなった。危機管理投資による経済強化と、秩序ある外国人受け入れの枠組みづくりは、持続可能な社会構築に向けた両輪として位置づけられる。政府は今後、有識者会議を通じて実行計画を固める方針だ。

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