与野党合意でガソリン減税加速、財源確保が焦点に

早瀬 涼真
经过

自民、想定前倒しで年内廃止へ軌道修正

ガソリン税の暫定税率を廃止する方針を巡り、与野党6党が29日に国会で協議し、年内実施で大筋合意した。自民党は当初、来年からの廃止を想定していたが、燃料価格の高止まりや世論の圧力を受け、日程を前倒しする判断に転じた。関係者によると、年内の正式決定を31日の会合で確認する見通しだ。

立憲民主など野党の主張が実現

立憲民主党を中心とする野党側は、年内廃止を一貫して要求してきた。今回の合意により、野党が主導する形で政府与党の対応を引き出した格好だ。立憲民主党の重徳和彦氏は「非常に大きな前進」と強調し、早期合意に向けた姿勢を明確にした。野党内では、減税による燃料費の即時軽減を成果としてアピールする動きもある。

1兆5千億円の税収減、法人税優遇見直し案も浮上

減税によって失われる税収は約1兆5千億円に達するとされる。この穴埋めとして、法人税の優遇措置を縮小する案や、特定目的税の見直し案が浮上している。ただし、経済界からは企業負担増を懸念する声も上がっており、調整は難航が予想される。与野党双方は、国民生活の支援と財政健全化の両立をどう図るか、綱渡りの協議を迫られている。

燃料価格対策としての政治的意味

物価上昇が続く中、燃料価格の抑制は政権の支持率にも直結する。今回の合意は、国民負担軽減への即効性を重視する政治判断とも言える。自民党内では「選挙前に成果を示す狙いもある」との見方も出ており、年末までの実施に向けて制度改正を急ぐ方針だ。

年内決着へ、残る課題は制度設計

31日の次回協議で正式決定となる見通しだが、制度設計や地方財源の扱いなど細部は依然として詰め切れていない。自民の小野寺五典氏は「一致点を見いだす努力を続ける」と述べ、各党間の調整を継続する姿勢を示した。実施時期が早まることで、行政や自治体側の準備体制も問われることになる。

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