米国との交渉終了を機に退陣を発表
石破茂総裁は9月7日、記者会見で自民党総裁を辞任することを明らかにした。日米間の関税交渉に関する覚書署名と米国大統領令の発出をもって「一区切りがついた」と説明し、後進に道を譲る意向を示した。退陣により8日に予定されていた臨時総裁選要求の確認は不要となり、党則に基づく総裁選が実施されることになった。
分断回避を最優先とする姿勢を強調
石破氏は「臨時総裁選の確認作業に進めば党内に深刻な対立を招く」とし、自らの退陣で対立を回避する考えを明言した。総裁選への立候補は否定し、後任に政権運営を委ねる姿勢を強調した。党内では小泉進次郎農水相や高市早苗前経済安保相らが有力候補として名前が挙がっている。
選挙での敗北が退陣圧力を拡大
石破政権は2024年の衆院選で与党が過半数割れし、2025年7月の参院選でも敗北したことで、党内外から責任を問う声が急速に広がった。地方組織では24都道府県が総裁選前倒しを支持し、政権基盤は弱体化。こうした状況が退陣を決断する大きな要因となった。
成果と未達成課題を残して退任へ
政権運営では、令和6年度補正予算や令和7年度予算の成立を実現し、政府提出法案のほとんどを成立させるなど成果を上げた。一方で、物価上昇を上回る賃金改善や社会保障充実といった政策課題は十分に進展せず、石破氏は「多くの期待に応えられなかった」と述べた。
次期総裁選が自民党再建の鍵に
石破氏の退陣を受け、党内では後継をめぐる動きが本格化する。候補者選びは党の将来像を左右する重要な局面となり、国際交渉や国内政策の舵取りが問われる。自民党は新総裁の下で一体性を回復し、責任政党としての役割を再び果たすことが求められる。