石破首相続投に影、麻生氏が前倒し要求を表明

笠原 美琴
经过

麻生派研修会での発言が大きな波紋を呼ぶ

自民党の麻生太郎最高顧問は9月3日、横浜市内で開かれた麻生派の研修会で演説し、党総裁選を早めるべきとの姿勢を公然と示した。首相経験者の立場から発せられた発言は、石破政権の命運に大きく関わるものとされる。参院選の大敗によって前倒し論が勢いを増す中での発表は、党内情勢を大きく揺るがす契機となった。

石破政権への不信感が拡大した背景が判明

参院選での大敗を受け、自民党内では石破首相の続投を疑問視する声が強まっていた。麻生氏は「次期衆院選に勝てる体制を早急に整える必要がある」と述べ、刷新の必要性を強調した。こうした姿勢は、党内の倒閣を志向する勢力にとって追い風となり、「石破降ろし」と呼ばれる動きを加速させる結果となった。

派内の自由裁量を認める方針を発表

麻生氏は前倒し要求を明言する一方で、派内の議員に統一行動を強いることはしないとの方針を示した。発言の背景には、派閥運営をめぐる不祥事で党内派閥が相次ぎ解散した経緯があるとされる。議員一人ひとりの判断に委ねる姿勢は、派閥色を抑えつつも各自の対応を尊重する意図が見える。

地方組織と中堅議員の動きが相次いで表明

総裁選前倒しの是非を決めるには国会議員と都道府県連の過半数が必要とされる。北海道連が賛成を決定し、会長の武部新副大臣は「新しい自民党はここから始まる」と語った。これに対し、福島県連は反対を明確にしている。さらに、政務副大臣や中堅議員の一部もSNSや会合を通じて賛同を示し、前倒し論は党内で広がりを見せている。

8日までに迫る最終判断の行方に注目

総裁選前倒しを巡る要求の可否は9月8日の締め切りで決着する。党所属国会議員295人と47都道府県連のうち過半数の賛同を得られるかが焦点となる。石破首相が続投を望む一方で、麻生氏の姿勢表明は党内情勢を一層緊迫させており、決定の行方が注目されている。

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