コメ価格下落と備蓄政策が招く現場の混乱
秋田県内の農業界では、政府による農政改革をめぐって懸念が高まっている。6月30日、JA秋田中央会の小松忠彦会長は、備蓄米の市場放出や販売制度の変更が「生産現場に大きな不安を与えている」と指摘した。価格の支えがなくなれば、農業の継続が危ぶまれるとの見方が広がっている。
概算金制度廃止の提案に強まる反発
農林水産省の小泉進次郎大臣は、農協による仮払金「概算金」の廃止を含む改革案を提示している。小泉氏は、JAへの販売委託を経ず直接取引に切り替えれば、農家の収入が増加すると主張。しかし、この考え方に対し、小松会長は「農家を市場に放り出す結果になる」と懸念を示した。
販売の自由化では農家が守れないとの声
現場では、価格の自由化が必ずしも利益増につながるとは考えられていない。農協が担ってきた価格交渉力や販売網は、特に小規模農家にとって重要な支えとなっている。仮払金の制度がなくなれば、不安定な相場に翻弄される農家が増える可能性がある。
政策決定に現場の声を反映させる必要性
小松会長は、農政改革において「上からの制度変更ではなく、地域の声を反映させる仕組みが必要だ」と訴える。JAの意義や機能を過小評価すべきではないという立場を明確にした。農家を支えるためには、現場主導の協議が欠かせない。
政府のメッセージが農業現場に与える影響
最後に小松会長は、「農水相から現場を励ます言葉が聞こえてこない」と指摘した。制度改革と同時に、農家に対する信頼や支援の姿勢を示すことが不可欠だとして、国のトップによるメッセージの重要性を強調した。