自由生産時代見据えコメ農家の意向を初調査

宇津木 柊
经过

農業政策の大転換に向けた準備が進行中

政府は、従来のコメの生産調整制度からの脱却を視野に入れた政策転換を進めている。その一環として、小泉農相は6月19日、全国の稲作農家を対象に今後の生産意向を調査するアンケートを実施すると発表した。これは、中長期の米政策の基礎を築くための初の大規模な試みである。

調査は来年・5年後・10年後の見通しに焦点

アンケートでは、農家が1年後、5年後、10年後にそれぞれどの程度の生産を予定しているかを尋ねる。対象者は農水省のウェブサイトを通じて回答する。実施期間は6月19日から7月末まで。政府は、この時系列に沿った意向把握によって、将来にわたる稲作の姿をより具体的に描くことを目指している。

「作りたい人が作る農業」への移行を見据える

小泉農相は、「コメを作りたい人が自由に作れる体制に向けて動くには、まず農家の意思を把握することが必要だ」と述べ、今回の調査が将来的な政策形成にとって重要な位置づけであることを強調した。これは、従来の生産数量規制を基盤とした農政とは異なる発想である。

減少が続く米生産とその背景

国内のコメ生産量は、実質的な生産調整の下で長期的な減少傾向にある。食の多様化や人口減少といった社会的変化も背景にあり、政府はこれに対する柔軟な対応を迫られている。現在の制度が持つ限界を超え、より持続可能な農業の在り方を模索する必要がある。

政策見直しの出発点としての意義

この調査結果は、将来的な米政策だけでなく、農業全体の方向性にも影響を与えるとみられる。生産支援の仕組みや新規参入促進策など、幅広い政策に波及効果が期待される。調査を通じて得られる農家の声が、今後の農政の軸となる可能性が高い。

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