市場予想を上回る売上計画が発表
エヌビディアは2025年11月〜2026年1月期の売上高を650億ドル前後と見込む計画を示し、従来の市場予測を上回る水準を提示した。この見通しは、AI関連の半導体需要が引き続き強いことを示し、事業の成長が継続するとの見方を市場に与えた。同時に公表された調整後売上総利益率は75%前後が見込まれ、安定した収益構造を維持する姿勢が示された。
8〜10月期の業績が記録更新と判明
同社が19日に発表した2025年8〜10月期決算では、純利益が319億1千万ドル、売上高が570億600万ドルに到達し、いずれも四半期として過去最高水準を更新した。前年同期比では純利益が65%増、売上高が62%増となり、AI向けGPUの需要拡大が収益基盤を押し上げた。特にクラウド事業者からの引き合いが強まり、主力部門のデータセンター事業が業績全体を牽引した。
データセンター事業の拡大が進行
第3四半期に当たる期間の総売上高は62%増となり、7四半期ぶりに成長ペースが加速した。中心となるデータセンター部門では512億ドルを計上し、市場予測を大きく上回った。この部門の売上は全体の大半を占め、AI向けGPUの供給が逼迫する状態が続いていることが数字にも表れた。同社は先端半導体の注文残が来年にかけて増加すると説明し、需要の継続を見込んでいる。
バリュエーション過熱への警戒感が残る状況
一方で、AI関連投資が急拡大する環境では、企業価値が実態を超えて上昇しているとの警戒が根強い。大口顧客4社に売上の61%が集中している点や、AI企業への大型投資が連鎖的に続いている点が、循環型資金の偏りにつながるとの指摘もある。また自社製GPUをクラウド向けに提供し、その後レンタルとして回収する仕組みへの投資も増え、契約額は260億ドルと前四半期の2倍を超えた。
成長を左右する外部要因の影響が指摘
同社の成長に対し、外部環境が制約となる可能性も指摘されている。米国の輸出規制により中国向け販売が抑制されるなか、米商務省はサウジアラビアとUAE向けに最大3万5000個の先端GPUの輸出を承認した。また、大規模AIシステムを運用するうえでは電力供給やグリッド接続などの物理的な制約が避けられず、インフラ整備の速度が収益化の時期に影響する可能性も示されている。
