雇用鈍化と利下げ観測が投資家心理を転換

井村 智規
经过

株価急落の反動で割安感から買いが集まる

雇用統計の低調さで前週末の米株は急落したが、4日にはその反動により主要3指数が1%以上の上げ幅を示した。特に割安感のある銘柄に資金が集まり、押し目買いが広がった。

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労働市場の減速がFRBの政策転換を後押し

米労働省が発表した7月の統計では、非農業部門雇用者数の伸びが大幅に鈍化。さらに過去2カ月分の雇用者数も下方修正された。これにより、9月のFOMCでの利下げ観測が強まり、CMEフェドウオッチでは87.8%が利下げを予想する水準となった。

為替と債券市場にも政策転換の影響

ドルは為替市場で回復の流れを示しているものの、米政権の政策不透明さが上値を抑制している。10年国債利回りは4.20%に下落し、債券市場の不安定さは依然として解消されていない。

金は利下げを好感、原油はOPEC増産で続落

金価格はFRBの利下げ観測を背景に上昇。投資家は金利を生まない安全資産としての魅力を再評価している。シティは金の最高値更新の可能性を指摘している。一方で原油市場はOPECプラスの増産決定と米景気減速の影響を受け、価格は続落した。

大統領の人事介入が金融市場に影を落とす

トランプ大統領は、雇用統計の発表直後にBLS局長を解任し、FRB理事のクグラー氏も早期退任を表明。これにより、政策の先行きに対する懸念が広がっており、市場のボラティリティを高める要因となっている。

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