シマノ、営業利益予想を29%引き下げ 在庫圧力増

笠原 美琴
经过

中国需要減退と在庫過剰が深刻化

シマノは2025年12月期の営業利益を460億円に見直し、従来予想より240億円引き下げた。中国でスポーツタイプ自転車の需要が鈍化し、部品販売が振るわないうえ、完成車メーカーの在庫滞留が業績悪化の大きな要因となっている。

純利益は前年比60%減に落ち込む見通し

純利益は前年比60%減の305億円とし、4月時点の予想からさらに333億円引き下げた。アジア通貨や円に対するドル安による為替差損が拡大し、利益圧迫要因として加わった。

東南アジアのコスト増が利益率低下を加速

マレーシアでは2月に最低賃金が引き上げられ、シンガポールなどの工場でも人件費負担が増している。資材価格の上昇と合わせて生産コストが利益を圧迫し、製造拠点の収益力低下が鮮明となった。

米国関税の影響は限定的との見方

米トランプ政権が打ち出した関税政策について、シマノは「15%水準であれば影響は調整可能」との見解を示した。完成車メーカーの輸出拠点が中国や東南アジアに分散しており、日本から米国への直接輸出は限定的だ。

利益回復には在庫正常化とコスト抑制が焦点

シマノは世界的な需要調整とコスト圧力の中、在庫処理の加速と為替影響の緩和が急務となる。株主還元として年間339円の配当は維持するが、今後の収益回復には市場動向への迅速な対応が必要とされる。

この記事をシェア