株式市場は一時下落も持ち直し、円安が下支え

井村 智規
经过

トランプ関税発表で寄り付きは弱含みスタート

2025年7月8日の東京市場は、日経平均が前日比45円安の39,542円で取引を開始し、小幅な続落でスタートした。背景には、トランプ米大統領が日本と韓国に対して8月1日から25%の関税を課すと明言したことや、前日の米国株下落による警戒感があった。市場ではこれを受けて売りが先行したが、次第に買い注文が増加した。

徐々に買い戻しが入り終値はプラス圏へ

一時的な下落後、市場は昼前からじわじわと回復し、終値では101円高の39,688円まで反発した。特に書簡により関税発動日が8月に設定されたことが確認され、交渉期間が残されているという楽観的な見方が浮上。これにより、先行して売られていた銘柄への買い戻しが進んだ。

精密機器や半導体など成長株が上昇を主導

オムロンが6%を超える急伸、アドバンテストが1%超の上昇となり、精密機器・電子部品セクターが強含んだ。加えて、ダイキン工業も2%以上上げるなど、製造業の主力株が投資家の関心を集め、日経平均の堅調推移を支えた。

セクター間の明暗が鮮明に

業種別では、非鉄金属やサービス業が堅調だった一方で、保険業やその他製品は軟調に推移した。これは、円安の恩恵を直接受けやすい業種に資金が集中した結果とみられる。為替市場では円が対ドルで売られ、輸出企業の収益期待が高まったことが背景にある。

米インフレ動向と政策判断が今後の焦点に

一方、米国の物価動向が依然として不確実性をもたらしている。物価上昇が続けば、FRBの利上げ再開の可能性も否定できず、これが世界の金融市場に波及する可能性もある。日銀の政策方針と合わせて、今後の政策決定は投資家にとって注視すべき材料である。

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