閣僚折衝で示された政府方針
2025年12月23日、令和8年度予算案を巡る閣僚折衝の中で、政府は日本貿易保険(NEXI)の財務基盤を強化する方針を確認した。経済産業相と財務相の協議を通じ、対米投資を支える制度的な裏付けとして交付国債を活用する方針が固まった。
日米関税合意を受けた制度対応
今回の措置は、日米関税交渉で約束された5,500億ドル規模の対米投資を確実に履行するための対応である。政府は、投資規模の大きさを踏まえ、民間金融機関だけでは負担しきれない信用リスクをNEXIが補完する体制を構築する。
最大3兆円の交付国債付与
NEXIには最大3兆円の交付国債が付与され、令和8年度にはそのうち1兆7,800億円が措置される。交付国債を自己資本として活用することで、NEXIは民間金融機関の融資に対し、最大50兆円規模の保証を提供できる。これにより、企業の対米投資に必要な資金供給が安定する。
段階的な保証枠拡大の仕組み
政府は2025年度補正予算で計上した1,000億円の出資と組み合わせ、まずは約40兆円規模の保証体制を整える。その後の追加発行については、2027年度以降の予算編成過程で検討する方針だ。財政負担を抑えつつ、段階的に支援を拡充する設計となっている。
投資実行を支える今後の工程
今後は、交付国債発行を可能にするための貿易保険法改正が焦点となる。政府は制度改正と案件選定を同時に進め、NEXIの保証を通じて対米投資を実行段階へと移行させる考えだ。
