行政書士の依頼に応じた現職警部補を逮捕
大阪府警は22日、現職警部補の草川亮央容疑者(56)を地方公務員法違反(守秘義務)の疑いで逮捕した。草川容疑者は、府警OBで行政書士の道沢正克容疑者(68)の依頼を受け、銀行口座の預金情報を不正に取得して漏らしたとされる。道沢容疑者も同法違反(そそのかし)の疑いで逮捕された。
偽装された照会手続きと組織的盲点
草川容疑者は羽曳野署刑事課在籍時、捜査目的を偽装して「捜査関係事項照会書」を作成。上司の承認を得て金融機関から情報を入手した。照会書は裁判所の令状を必要とせず、内部承認で発行可能なため、監視体制の甘さが露呈した形となった。府警は手続きの流れや監督責任の有無についても調査を進めている。
知能犯捜査の経験者同士が関係維持
道沢容疑者は平成24年に55歳で退職し、知能犯事件のベテランとして知られていた。両容疑者は捜査2課時代の同僚で、当時から業務上の信頼関係を築いていたとみられる。退職後も草川容疑者が仕事の相談を持ちかけるなど、継続的な交流があったという。
不正情報利用の疑いと捜査拡大
道沢容疑者は、行政書士として設立した調査会社の業務で入手情報を活用していた可能性がある。府警は、他の顧客案件や民間調査での流用の有無を含め、情報提供の範囲を洗い出している。事件の発端は25年1月に寄せられた内部通報で、監察部門が捜査を開始した。
再発防止へ 府警の信頼回復課題
府警監察室の國井栄次室長は「国民の負託を裏切る行為で極めて遺憾」と述べた。今回の事件を受け、警察庁は全国の警察に対し照会制度の適正運用を再確認する方針を示している。内部統制の強化と倫理教育の徹底が今後の課題となる。
