都道府県と市町村の歳入がそろって増加を発表
総務省が9月30日に公表した2024年度普通会計決算速報値によると、都道府県と市町村の歳入はともに増加し、3年ぶりのプラスとなった。都道府県の歳入総額は59兆7939億円で前年度比2.2%増、市町村は71兆3998億円で4.0%増を記録した。増加の主因は企業収益拡大による地方税収の伸びで、景気の好調さが財政収入を押し上げた。
人件費負担が歳出を押し上げたことが判明
歳出については、都道府県が57兆9232億円で前年度比2.3%増、市町村が69兆1091億円で4.1%増となった。大きな要因は人件費の増加であり、地方公務員の定年延長に伴って24年度の退職手当支給対象者が増加したことが影響した。また給与改定もあり、財政全体に占める人件費の比重が拡大した。
歳入増と歳出増のバランスが課題に
税収の増加が財政を潤した一方で、歳出も同等の規模で拡大しており、歳入超過の余裕は限定的となった。都道府県の歳入と歳出の差は約1兆8707億円にとどまり、支出増の持続性が財政運営上の懸念点となっている。
地方公務員制度改革の影響が浮き彫り
今回の決算では、定年延長や給与改定といった制度的な要因が財政に直結する姿が示された。短期的な増加要因にとどまらず、今後も高齢化に伴う人件費負担が増える可能性が高い。自治体の財政基盤に対し、持続可能性をどう確保するかが焦点となる。
地方財政の安定化へ求められる対応策
税収増による一時的な改善に安住せず、歳出の効率化や財源確保策を講じることが求められる。特に人件費構造の見直しや業務効率化は不可欠であり、自治体の財政運営は一層の改革努力が迫られている。