慎重派とされた委員が追加利上げに言及
日銀の野口旭審議委員は9月29日、札幌市で講演し「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まっている」と発言した。これまで金融引き締めに慎重とされてきた同委員が、追加利上げに踏み込む姿勢を見せたことで、市場に大きな注目を集めた。
日本経済で物価安定目標が視野に
野口委員は講演の中で、国内の各種指標を確認した結果、2%の物価安定目標達成が着実に近づいていると強調した。物価上昇リスクが増す中で、政策判断における重点も変化しており、金融政策の方向性は新たな局面を迎えていると説明した。
世界経済に潜む米国関税のリスク
講演では同時に、米国の関税措置が日本を含む世界経済に与える下方リスクについても触れた。4月以降続く不透明な状況は、国内景気への影響を完全には把握できないとして、慎重な検討が必要だと述べた。外部要因が金融政策の不確実性を高めているとの見解を示した。
政策判断における上方リスクの増大を強調
野口氏は「下方リスクは依然として存在するが、上方リスクの重みが増している」と述べた。つまり、物価上昇の勢いを抑えるための政策対応が求められる可能性が高まっているという認識だ。市場では、この発言を日銀の政策方向転換を示唆するものとして注視している。
日銀内での議論加速に向けた動き
今回の講演での発言は、日銀内部での金融政策議論を加速させる契機になるとみられる。野口委員が利上げに言及したことは、金融政策決定におけるスタンスの変化を象徴するものであり、今後の政策会合での動向に注目が集まっている。