物価安定を背景に政策金利を2%で据え置き
欧州中央銀行(ECB)は9月11日の理事会で政策金利の据え置きを決定した。7月に続き2会合連続の維持となり、中銀預金金利は2.0%に据え置かれた。ユーロ圏の物価上昇率が2%前後に収まり、景気も底堅さを示していることが判断材料となった。
目次
米国との貿易交渉合意が不確実性を和らげる
欧州連合(EU)と米国は7月末に貿易交渉で合意し、米国はEUからの輸入品の大半に15%の関税を課すことになった。ラガルド総裁は「貿易関係が悪化すれば輸出がさらに冷え込み、消費や投資に影響が出る可能性がある」と警告したが、交渉合意により不確実性は部分的に緩和されたと述べた。
経済成長とインフレの新たな見通しを発表
ECBは新しい予測を示し、2026年のインフレ率を1.7%に引き上げ、2027年を1.9%に下方修正した。成長率については2025年を1.2%に上方修正し、2026年は1.0%に引き下げた。物価動向と経済成長の双方で修正が行われ、今後の政策判断に反映されることになる。
市場反応は利下げ終了を織り込みつつある
ECBの判断を受けて市場では利下げ終了の観測が広がった。ドイツ10年国債利回りは2.69%に上昇し、ユーロは対ドルで1.1739ドルまで上昇した。短期金融市場では金利先物の動向から、今後の政策は据え置きが基本線となるとの見方が強まった。
金融政策の転換点から安定局面への移行が確認された
ECBは過去1年間で8度の利下げを実施し、政策金利を4%から景気を刺激も抑制もしない中立水準まで下げた。その後の物価安定を経て、今回の決定は利下げ局面の終了と安定した金利維持の局面に移ったことを示している。