植田総裁「霧は晴れず」金融政策の現状維持

早瀬 涼真
经过

金融政策決定会合で据え置きを決定

7月31日、日銀は金融政策決定会合を開催し、政策金利を0.5%前後に据え置くことを決定した。これで4会合連続の維持となる。日米間の関税合意は成立したものの、企業活動への影響や先行きへの不透明感が残る点が考慮された。

植田総裁の発言と市場への影響

会見で植田総裁は「関税の影響はこれから出てくる」と述べ、年後半の景気減速を予想した。また「一気に霧が晴れることはない」とし、企業業績や賃上げ動向を含む複数の要因を注視していく姿勢を示した。

物価と成長率の見通しを修正

同日発表された「経済・物価情勢の展望」によると、2025年度の物価上昇率は従来の2.2%から2.7%に引き上げられた。食料価格の高止まりが要因とされる。また、GDP成長率も日米関税協議の合意を反映し上方修正された。

慎重な金融政策運営を継続

日銀は2%の物価安定目標の達成時期を26年度後半から27年度とする従来の見通しを据え置いた。植田総裁は金融政策正常化に向けて慎重かつ段階的な対応が必要だと強調し、市場に慎重姿勢を示した。

経済の減速懸念と政策の方向性

日銀は、世界経済の減速や関税政策の影響が国内経済に及ぶリスクを引き続き注視していくとしている。政策変更の時期や規模については明言せず、情勢に応じて柔軟に対応する構えを見せた。

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