中古住宅市場の失速が加速、不況の深刻度増す

早瀬 涼真
经过

大半の都市で住宅価格が前月比で減少

中国国家統計局が7月15日に公表したデータによれば、6月の新築住宅価格は70都市中56都市で前月から下落した。これにより、下落した都市の割合は全体の8割に達し、不動産市場の停滞がより鮮明となった。5月と比べても下落都市数は3都市増えており、価格低下の波は広がりを見せている。

大都市圏でも価格下落が進行中

価格下落の傾向は地方に限らず、北京、天津、重慶、広州などの大都市にも広がっている。かつては安定的な需要を誇っていた地域でも価格が軟化しており、全体的な購買需要の減退が影響しているとみられる。住宅価格の下落が継続すれば、建設業や関連産業にも波及する懸念がある。

新興都市では価格上昇の動きも一部確認

価格が前月より上昇した都市は14にとどまったが、その中には上海や杭州、合肥といった新興産業の集積地が含まれていた。経済成長が続く一部都市では、不動産投資への期待が依然として存在することがうかがえる。ただし、都市全体としての勢いは乏しく、価格上昇は局所的な現象にとどまっている。

中古住宅価格の下落が市場心理に打撃

新築住宅以上に深刻なのが中古住宅市場である。6月は70都市中69都市で中古住宅価格が下がり、5月からさらに2都市増加した。上昇が確認されたのはわずか1都市のみで、住宅購入を検討する層にとっては、市場の先行きに対する懸念材料となっている。価格の下落は今後の取引減少にもつながりかねない。

政策対応にもかかわらず消費者の慎重姿勢継続

中国政府はこれまで内需を押し上げるため、不動産市場に対する様々な支援策を講じてきた。しかし、消費者の購買意欲は戻っておらず、市場の回復には至っていない。価格下落が続く中、買い控えがさらに進み、結果的に市場悪化が自己強化的に進んでいる構図が浮かび上がる。

この記事をシェア