11年ぶりに1万件突破 中小事業者の経営に影響
2024年度に発生した企業倒産件数は1万70件に達し、2013年度以来11年ぶりに大台を超えた。前年比13.4%の増加であり、コストの高騰と構造的な人手不足が企業経営に深刻な影響を及ぼしている。とりわけ中小企業の財務体力の限界が明らかとなった。
目次
小売・建設も影響大 コスト高と競争激化の余波
倒産件数の内訳では、サービス業が最多となり、次いで小売業、建設業が続いた。物価高による仕入れコストの上昇と、消費者の節約志向による売上減少のダブルパンチにより、事業継続が困難になるケースが増加。さらに、競合の増加と価格競争の激化も業界全体の利益率を押し下げた。
負債100億円を超える事例は9件に限られ、主に中小零細企業が影響を受けた
倒産した企業のうち、負債総額が100億円を超える大型事例は9件にとどまった。残りの大部分は中小零細企業で占められており、特に地方や都市部周辺の事業者が厳しい状況に置かれている。事業継承の困難さや後継者不足も、経営継続を阻む要因となっている。
米経済の不透明感が懸念材料に 自動車関税の波紋
今後の経済環境を左右する要因として、アメリカが導入した自動車関税の影響が注目されている。輸出入業者を中心に事業コストが増大し、日系メーカーへの影響も懸念されている。また、アメリカ経済全体の減速や金融情勢の変化も、日本企業の資金調達や取引先への信用供与に影響を及ぼすとみられている。
安定的な事業環境構築に向け、政策の再検討を
中小企業の倒産増加は、単なる統計上の動きにとどまらず、雇用や地域経済の安定に直結する課題である。持続可能な経営を支えるためには、実効性のある政策支援と早期の資金支援措置、事業継続のための仕組みづくりが不可欠だ。