税制と旅券制度を同時に調整する動き
政府は、出入国に関わる制度全体の再設計を進めている。外国人に負担を求める税制の見直しとあわせ、日本人にも影響する制度については調整策を講じる方針だ。パスポート発行手数料の引き下げは、その一環として位置付けられている。
発行料9000円への引き下げ案を提示
10年用パスポートの手数料は、現在の約1万6000円から約9000円へ引き下げる案が示された。政府は、旅券取得時の初期費用を抑えることで、海外渡航への関心を高める効果を期待している。
年少者向け旅券制度を新設
制度改正では、5年用パスポートの扱いも変更される。18歳以上向けの5年用は廃止され、18歳未満専用の制度として再編される。新たな手数料は約4500円とされ、家計負担の軽減を意識した設定となる。
出国税増収で邦人保護費を補填
現行制度では、パスポート手数料の一部が邦人保護に充てられている。改正後は、出国税引き上げによる増収分でこれを補う仕組みとする方針だ。政府は、税と手数料の役割分担を明確にすることで制度の持続性を確保するとしている。
低下する保有率への政策的対応
外務省の統計では、日本のパスポート保有率は主要国と比べて低水準にとどまる。政府は、手数料見直しを通じて取得のハードルを下げ、将来的な国際交流や経済活動の基盤を支える施策として位置付けている。
