予算委で浮かび上がった政策課題
2025年12月15日の参議院予算委員会では、補正予算案の審議とあわせ、税制や労働政策に関する質疑が行われた。高市早苗首相は、複数の分野にわたる質問に答弁し、政府が直面する課題と検討の進捗状況を説明した。とりわけ、働き方と税負担の関係を左右する年収の壁が議論の中心となった。
働き控え解消を見据えた税制議論
首相は、年収の壁の見直しについて、働き控えを解消し手取りを増やすという方向性で、与党や関係政党との認識が一致していると説明した。具体的な改正内容については、政党間協議を通じて詰めていく段階にあり、どの所得層に減税効果を届けるかを精査している状況だと述べた。
最低賃金を巡る慎重な制度運用
最低賃金の引き上げに関しては、将来目標を掲げるだけでなく、事業者が無理なく対応できる環境整備が不可欠だとの考えが示された。政府としては、成長戦略の策定過程で、これまでの決定内容への対応を含め、具体策を検討していく方針を示している。
国会改革と医療制度への視線
議員定数削減については、国会全体の改革として意義があるとの認識が示され、政治の信頼回復につながる論点として位置付けられた。また、OTC類似薬を巡る自己負担の在り方については、患者の属性ごとに影響を見極め、負担の偏りを避ける姿勢が示された。
内外政策に共通する安定志向
首相は、国内政策だけでなく外交面にも言及し、中国と台湾を巡る情勢について、対話を重ねた平和的解決を期待する立場を改めて表明した。補正予算案の成立を見据えつつ、生活と経済の安定を重視する政府の基本方針が示された形だ。
