日米財務会談、投資と制裁を中心に協議　円相場は議題外

初の対面で友好関係を確認　日米関係の安定を強調

片山さつき財務相とスコット・ベッセント米財務長官は27日、東京・霞が関の財務省で初の直接会談を行い、日米財政当局の緊密な協力体制を確認した。会談は午後7時から約1時間行われ、両者は経済連携の強化を中心に意見を交換した。

議題の中心は、日米関税合意に基づく5500億ドル（約84兆円）の投資案件であった。片山氏は、合意を着実に実施する方針を説明し、米側の協力に謝意を表明した。正式な合意内容は翌日の首脳会談で発表予定とされ、詳細は明かされなかった。

会談では、ロシアへの追加制裁をめぐる意見交換も行われた。米国はロシア産LNGの輸入停止を求める姿勢を強めており、トランプ政権の方針を踏まえた議論がなされた。片山氏は「輸入問題を含む制裁関係について話が出た」と述べたが、具体的な中身は明らかにしなかった。

会談の冒頭、片山氏は日経平均株価の5万円突破に言及し、経済の安定が対話の好機となったと指摘した。ベッセント氏も「訪日時に株価が高値更新したことを光栄に思う」と応じ、高市政権の拡張的財政政策が市場の期待を高めているとの認識を示した。

今回の会談では、日本銀行の金融政策や為替市場の介入に関する議論は見送られた。両国は、為替安定に関する9月の共同声明を尊重しつつ、今後の経済環境を注視する姿勢を共有した。両者は今後も定期的な協議を続ける方針を確認した。