万博運営が黒字転換へ 過去最高の収益規模見込み

長峰 詩花
经过

入場券販売が想定を上回る伸びを記録

大阪・関西万博の運営収支が230億〜280億円の黒字となる見通しが明らかになった。日本国際博覧会協会が7日に発表したもので、特に入場券販売の伸びが予想を上回った。前売り段階での低迷を脱し、会期後半には約2206万枚に達した。SNSなどを通じた来場者の好評が広がり、チケット需要を押し上げた形だ。協会は当初、約1800万枚を収支均衡ラインとしていたが、閉幕間際の駆け込み需要も加わり、収益を大きく押し上げた。

「ミャクミャク」関連グッズが収益を下支え

今回の黒字を支えたもう一つの要因は、公式キャラクター「ミャクミャク」の関連商品だ。Tシャツやぬいぐるみ、文具などのグッズ販売が予想以上に好調で、収益に約30億円を寄与したとされる。協会関係者は「来場者の思い出として手に取られる機会が多く、グッズ販売は万博の盛り上がりの象徴となった」と述べた。こうした二次的な経済効果も、運営全体の好転につながった。

運営費増にもかかわらず黒字確保

運営費は当初想定の約1.4倍に膨らみ1160億円に達したが、支出の抑制努力により、最大で50億円のコスト削減が実現した。これにより、赤字転落が懸念された運営計画は一転して黒字に転じた。協会の十倉雅和会長は記者会見で「安全・安心を最優先に運営し、多くの人に来場していただいたことが成果につながった」と語った。

愛知万博を超える黒字規模が確定的

今回の収益規模は、2005年の愛知万博の129億円を大きく上回る見通しである。これにより、日本国内で開催された万博としては過去最大の黒字額となる可能性が高い。協会は、2025年度の決算でより精緻な数値を示す予定としており、収益確定は2028年3月の協会解散後に行われる。

収益の使途は国が検討へ

黒字分の使い道については、国が関係者や有識者を交えた協議の場を設けて決定する。今後は、会場跡地の整備や地域振興策への活用なども検討課題となる見通しだ。また、13日に予定されている閉会式には石破茂首相が出席する方向で調整が進んでおり、万博の成功を象徴する節目となる。

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