方針転換で生産者の不安が拡大
政府が備蓄米の販売を9月以降も認める決定を行ったことで、農業現場に不透明感が広がっている。21日に会見したJA全中の山野徹会長は「需給や価格の先行きに懸念が出ている」と述べ、農水省の急な方針転換が混乱を招いていると指摘した。
農水省が販売期限を再設定
農水省は安価な備蓄米の販売期限を当初8月末までとしたが、20日になって倉庫からの搬出遅れを理由に延長を決定した。市場への影響を避けるためと説明しているが、関係者の間では「計画性を欠いている」との声が少なくない。政策判断の信頼性を問う動きが強まっている。
山野会長が追加変更の回避を強調
山野会長は会見で「今回の変更で生じた不安を払拭するためにも、追加の申し込み受付や再延期といった新たな措置は避けるべきだ」と述べた。生産者や流通業者が安定的に取引を進められるよう、政府が一貫性を持った対応をとることの必要性を訴えた。
概算金引き上げと市場への影響
新米の集荷を確保するため、各地のJAが農家への仮払い「概算金」の目安を引き上げている。山野会長は「概算金は産地の判断で総合的に決められており、生産継続を支える仕組みだ」と説明した。価格動向への影響については、引き続き注視していく考えを示している。
市場安定化への課題が浮上
備蓄米の販売延長は、市場の需給バランスや価格形成に影響を及ぼしかねない問題として浮上している。農業団体は、政府に対して計画的かつ透明性のある政策運営を求めており、今後の市場安定策が問われる局面となっている。