現状の生活に不満増加 「暮らしに余裕なし」が過半数
暮らし向きに関する不安が、日銀のアンケートで浮き彫りとなった。61%が生活にゆとりがなくなったと感じており、これは前回よりも明らかに増加している。一方、ゆとりが出てきたとする声はわずかな割合にとどまり、改善傾向は見られない。
支出の増加が家計に直撃 値上げが圧倒的要因に
支出が「増えた」と答えた人は61.9%にのぼり、そのうち87.2%が「生活関連の価格上昇」が理由とした。日用品やサービス価格の持続的な上昇が、家計に直接響いている様子がうかがえる。現在の物価が1年前より「上がった」と感じている人は96.1%に達した。
所得は伸び悩み、むしろ減少傾向に
世帯の収入に関する回答では、「減った」とした人が30.6%と、前回より2.9ポイント上昇した一方、「増えた」は14.9%にとどまり減少傾向が続いている。収入の伸び悩みと物価高が並行して進行する中で、賃上げが追いつかない構造的課題が浮き彫りとなっている。
景気の体感悪化 先行きにも警戒感
景況感の調査では「悪くなった」との回答が70.5%を占め、前向きな見通しを持つ人は限定的だった。さらに、「1年後の物価」に対する期待値は平均12.8%の上昇となり、インフレの長期化を見込む意識が定着しつつあることが示唆された。
マクロ環境の影響は依然不明瞭
今回の調査は、米国による新たな関税措置の後に行われたが、日銀は「因果関係は特定できない」とし、経済政策との関連性を明言していない。国際要因の不透明さが、生活実感の悪化に拍車をかけている可能性もある。